オットセイの経営日誌

データサイエンス系ベンチャーを経営してます。経営のこと、趣味のことつぶやきます。

データサイエンス特化Q&Aサービスで解決したい2つの不幸

COVID-19により、猛烈な社会の変化に晒されている今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。

弊社含めスタートアップ界隈もなかなかの逆風が吹いていますが、そんな中、昨日、Nishikaの2つ目のサービスであるデータサイエンス特化のQ&Aサービスをリリースしました。

prtimes.jp

この記事では、データサイエンス特化のQ&Aサービスをリリースした背景について述べたいと思います。

Q&Aサービスは、データサイエンスを課題解決の手段として提供する側、活用する側の両方に役立てていただけるサービスにしていきたいと考えています。

具体的には、以下2つの不幸がなくなることを目指しています。

  • データサイエンティストが、自分の専門外の領域で途方にくれたり、あるいは不正確な認識や実装で課題を解きに行ってしまうこと

  • データサイエンスを活用する側が、技術が分からないが故に世の中のスタンダードが分からず、技術の分かる人間に騙されてしまうこと

解決したいこと1:データサイエンティストが、自分の専門外の領域で途方にくれたり、あるいは不正確な認識や実装で課題を解きに行ってしまうこと

正直なところ、これは前職時代の自分が欲しかったサービスでした。

前職時代、多くの異なる部門のお客様の対面に立ち、要望を伺い、主にデータサイエンスを武器に解決手段を提案・実装するという仕事をしていた中で、

実装を未経験であることはおろか、理論的な勉強もしたことがない領域の課題を解かなければいけない機会が少なからずありました。

もちろんお客様にとっては技術が重要なのではなく、手段はどうあれ課題を解決してくれることだけが重要なので、多少の不正確、非効率は強引に押し通り乗り越えていたことも多かったのですが、

技術を武器に仕事をする人間の端くれとして、これではいけない、という反省が常にありました。

今後の「データサイエンティスト」のあり方について、ビジネス/サイエンス/エンジニアリングの3つの領域があるなど様々な見方がされていますが、

ことビジネスサイドから見える景色を考えてみると、データを使って課題解決してくれる人が目の前の一人しか周囲にいない、なので何でもかんでもその人に解決をお願いする、というシーンが多く発生するのは容易に想像がつきます。

自分がその領域の専門家であろうとなかろうと、とにかく目の前の課題解決を求められる、という立場におかれる方は、この先一層増えていくのではないかと推測しています。

そんなときに使う手段として、Twitterも良いし、Slackのkaggle-jaチャネルも良いし、Cross Validated(Stack Overflowのデータサイエンス版)も良いのですが、

先人の疑問とそれに対する回答が蓄積され、それを活用し、さらに新たな疑問とそれに対する回答が蓄積され、、という循環が周る場があっても良いのではないかと思い、このサービスをリリースしました。

データが蓄積されることが場を作ることのメリットの1つなので、将来は例えば

  • 自然言語処理分野のAnswerが多く知識が豊富だ
  • 最適化分野のQuestionが多く熱心に勉強している

など、様々な角度でデータの蓄積を可視化し、データサイエンスの学習や仕事のモチベートに繋げていければと考えています。

解決したいこと2:データサイエンスを活用する側が、技術が分からないが故に世の中のスタンダードが分からず、技術の分かる人間に騙されてしまうこと

こちらは果たして上手くいくか、手探りなのですが、このQ&Aはデータサイエンスを活用する側、つまりビジネス側の方々にも使っていただけたらな、と思っています。

特に機械学習周りの世界はそうだと思うのですが、SOTAがどんどん更新されていくような目覚ましい技術進捗の中で、技術の分かる人と分からない人のリテラシーギャップが開く一方になっている、と考えています。

技術が分からない人間が分からないことに甘んじている状況も、個人的には嫌なのですが、

それ以上に、技術が分からない人間に対してフワッとした言葉でごまかし、あたかもさほど技術的価値がないものを価値があるように見せかけ、対価を取っていく行動が、何より好きではありません。

とは言え、すぐに技術的キャッチアップができる人ばかりではない中で、

世の中のスタンダードってどうなの?という疑問を解決できる場が提供できないか?と思ったことも、Q&Aサービスをリリースした背景にあります。

データサイエンスコンペティションには、特定の企業に開発を委託するよりも、多数の優秀なデータサイエンティストに競い合ってもらうことで精度の高いモデルを作ることができるという側面がありますが、

Q&Aでも、特定の人・企業からの意見だけでなく、幅広い意見を元に意思決定できる材料を提供する、という側面を打ち出せるよう、サービスの改善を行っていきたいと考えています。

最後に

コンペティションに続いてQ&Aという、共通点はデータサイエンスというだけ、基本的に大きく異なる2つのサービスを一介のスタートアップがマネージできるのか、なかなかチャレンジングだとは思っています。

しかし、私が大企業を離れて一番に学んだことである、行動量は裏切らないを信じて、理想を体現すべく引き続き突っ走れればと思っています。

ご利用・ご意見のほど、よろしくお願いいたします!