オットセイの経営日誌

データサイエンス系ベンチャーを経営してます。経営のこと、趣味のことつぶやきます。

ウィズコロナ期のデータサイエンス周りのビジネス環境を推測してみる

GWが始まりましたね。ぼっち・インドアな私でもさすがに外に繰り出すか〜と思う期間ですが、まさかこんな形で始まるとは思いませんでした。

多くの皆さんは積読の解消や、Courseraなどオンラインの学習、はたまたデータサイエンスコンペに参加して腕を磨くなど、とても有為な過ごし方をされていると思いますが、

私は無為にポエムでも書いてみることにしました。

ポエムのテーマですが、昨今のパンデミックに伴い有効求人倍率は駄々下がり、特に飲食業界や旅行業界は連日その苦境が報じられていますが、翻って我々の属するデータサイエンス業界(そんな業界はないが。。。)はどうなのか、受注環境やビジネスオポチュニティーはどうなってしまうのか、現時点で私から見えている景色をもとに推測してみました。

注:後から読み返すと、端々で受託開発目線でビジネス環境を捉えていました。受託開発以外の仕事ももちろん多くあるので本意ではないのですが、おそらく受託開発目線が最も分かりやすく環境の良し悪しを捉えられるためかと思います。ご容赦ください。

結論

早速結論をまとめてしまうと、

短期的には仕事の量は減るが、長期的には増える。但しその仕事の担い手は今までとはかなり変わる

と推測しています。

データサイエンス界隈の仕事環境については、冒頭例に挙げた業界に比べれば、ポジティブな面もあると考えています。
ただそれは、経済取引の量の観点ではポジティブという意味で、仕事の担い手は結構変わり、新たなプレイヤーも出てくれば既存のプレイヤーが淘汰される、ある意味厳しい局面が訪れる気がしています。

仕事の絶対量と内訳という非常にざっくりした二軸で、もう少し語ってみます。

絶対量の話

まず仕事の絶対量ですが、テキトーなグラフで可視化すると、以下のように推移すると考えています。

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短期的には落ち込むが、長期的には伸びるという見立てです。

短期的にネガティブな面

短期的にネガティブに見る事由ですが、データサイエンス界隈の仕事が

不要不急とみなされて、コストカットされる

と考えるためです。

データサイエンスは「それがなければビジネスが立ち行かない」といった類のものではないことも多く、企業からすればコストカットの対象になりやすいです。
もう少し解像度をあげると、ビジネスが好況であったり将来を見据える余裕があるような優良企業だけがデータサイエンスに関する取り組みを継続し、そうでない企業は一斉にひくことが予想されます。
またテーマの面でも、ROIがしっかり出ると見込まれる案件は継続されるが、そうではない取り組みは待ったがかかる可能性が高いと考えています。
ROIを出すなんて当然、むしろ淘汰が進んで良いじゃないかという声もあるかと思いますが、やる前からROIが出ると分かってる案件ばかりではないので(むしろそうではないものに価値があるケースも多々)、R&Dの色合いが濃く不確実性の高い案件は、結構な割合で止まってしまうのではないかと思います。

長期的にポジティブな面

一方で長期目線では、確実に仕事は増えるだろうと考えています。それは

コミュニケーションのオンライン化に伴い今まで止まっていた・検討もされていなかったデータ活用案件の動き出し

があると考えるためです。

多くのコミュニケーションがオンライン化されることで、今まで「その業務、データがあれば機械学習入れて効率化できるかもしれないんですけどね〜」などと言って話が終わったり、果てない人工データ作成の旅に出てそのまま帰ってこなかったりしたものが、In-Outのデータが蓄積されることで機械学習や、データドリブンの意思決定を導入できるチャンスが出てくると思っています。

ただまずはコミュニケーションや業務プロセスをデータ化するところから始まるので、実際に蓄積したデータ活用の取り組みが経済取引に転化するには少しラグがあると考えています。
そういう意味で長期目線にはなりますが、しかしデータサイエンティストの腕の見せ所は増えるはずです。

内訳の話

ただし、長期目線で増えるビジネス機会を捉えるプレイヤーは、これまでのプレイヤーとは変わってくるだろうとも見ています。

新たなプレイヤーが来るよという話と、既存のプレイヤーの勢力図も変わるよという話の2つがあります。
テキトーなグラフ第2段を示します。

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新たに蓄積されたデータを料理できるプレイヤーが勢力を増す

分かりやすく具体例を示せば、今Zoom上にどんどんデータが溜まっています。ビジネスのコミュニケーションのみならずプライベートのコミュニケーションまで、彼らはデータ化できる環境にあります。
今は音声データ、チャットのテキストデータ、それらに紐づくメタデータの状態ですが、例えば営業がクライアントに対してどういう営業をしているか、またそれをどう上司に報告しているかといったデータが蓄積され、今までSalesforce上に乗っていた以上にリッチなデータが溜まっています。

そういった新しいデータを活用したサービスを提供できるプレイヤーの一番手は誰かと言えば、やはりデータホルダー(この場合Zoom)です。
オンラインのコミュニケーションをデータレイヤーで抑えたプレイヤーが、データサイエンス界隈でも新たなプレイヤーとして伸びてくると考えています。

オンラインでも認識できる無形の信用を構築したプレイヤーが生き残り、そうでないプレイヤーは淘汰される

データサイエンス界隈の仕事のように、価格競争に陥りづらい高付加価値サービスの発注意思決定のロジックは、「サービスの品質が良い」か「信用が置ける」ところに発注する、のいずれかがメインと思います。

オフラインのコミュニケーションが容易でない中では、特に後者の信用を構築する方法が限定されたことが大きな変化です。
信用を構築するには、「客観的・定量的な指標(技術力の高さを示す論文数、コンペなどオープン競争での実績、案件実績、企業としての歴史など)で自分たちが信用できることを示す」か「人間関係を作る中で自分たちが信用できることを示す」の二択だと私は考えていますが、特に今後は後者の活動が難しくなるのではないでしょうか。

そのような中で割りを食うのは、よく言われていますが「他を圧倒するような技術力があるわけでもなく、長年の実績があるわけでもない中小企業・フリーランス」だと思っています。
今後は、他との違いを示せない中小企業やフリーランスは仕事の機会が減り、その分の仕事の機会が増え人材不足に悩むことになる大手企業に、人材が流出していくのではないか、と考えています。

おわりに

パンデミックがここまで大事になるとは誰も予測できていなかった(少なくとも事前にアクションは取れていなかった)ように、上記推測も後から振り返れば愚文と成り果てるのかもしれません。
しかし、先を見通すトライを重ねることには価値があると思い、大事な?休日をポエムの時間に割いてみました。

ここまでお読みいただけた方々、是非皆様の見解をお聞かせいただけると嬉しいです。
私もこの辺りの見立ては日々アップデートして、また考えがまとまったときに投下したいと思います。

では皆様、良き休日を。